童話の記述
- ずっとずっと昔のこと、真っ暗な空のなかを飛ぶ竜がいました。
- 竜は長い間延々と何をすることもなく飛び続けていました。それはそれはとても退屈で寂しいことでした。
- ある日のこと、竜は小さな種を見つけました。その種はぴかぴかと光っていて、竜はすっかり気に入ってしまいました。
- そこで竜は考えたのです。
- 「もし、『植木鉢』で育てたら何ができるんだろう?」
- それから竜は、『植木鉢』を探しはじめました。
- 『植木鉢』は真っ暗な地面の端っこのほうで見つかりました。
- 竜は早速『植木鉢』に種を入れてみました。
- 「育てるには『土』がいるな」
- 気がついた竜は『土』を探しはじめました。
- 『土』は15を好む魔法の星が導いた、扉の先で見つかりました。
- 竜は早速『植木鉢』に『土』を入れて種を埋めてみました。
- 「お水もないと、枯れてしまうよ」
- 気がついた竜は『水』を探しはじめました。
- 『水』は鏡に映る偽物を全て見つけた先にありました。
- 「よし、これで育つはずだ」
- けれど、いくら待っても種は育ちません。
- 「そうだ。育てるには咲いてほしいという気持ちも大切だ」
- 気がついた竜は紙に思いを記すことにしました。
- そうして待っていると、とうとう芽がでたのです。
- 竜は嬉しくなりました。
- 芽はぐんぐんぐんぐん育ち、やがて蕾をつけます。
- そしてとうとう蕾は花開き、大きなお花を咲かせたのです。
- お花は眩しく、真っ暗な世界をさんさんと照らしました。
- するとびっくり。竜が今まで飛び回っていたそこにたくさんの種があったのです。
- 『土』も『水』も『植木鉢』もたくさんありました。
- 竜はそこで再び元の場所に戻すことにしました。
- そうすれば、今度誰かが掘り起こしたとき、楽しいことが起きるだろうと思ったのです。
- こうして、竜はそのときがくるまで島で眠りにつくことにしたのでした。
- めでたし、めでたし。